あとがき


『あとがき』まで読んでくださり,ありがとうございます。

伊東長編夢『残照』は,2008年11月4日にサイトを開設した日から始めた連載です。
なので,2016年7月10日に完結したとなると……あしかけ8年もかけてしまいました。

この8年弱の間にも,『銀魂』は空知先生の手によって感動的な長編や,抱腹絶倒
する短編が次々と生み出され,2回も映画化され,本誌ではいよいよ最終章に突入し,
しかも今度は小栗旬主演で実写化までされるというのです(笑わずにいられない)。
時の流れって本当にすごいな,と思います。
ただ『時の流れ』と一口に言っても,徒に時間が過ぎ行くことを言っているわけでは
なくて,ですね。
人が動き,人が創り,人が結ばれてゆくことで物事は流れてゆき,歴史というものは
できあがってゆくわけですから。
時間をかけて人々の手により創り出されてゆく奔流,という意味で『時の流れ』は
偉大であるよな,と思うのです。

わたしもこの8年弱の間に三十路になり,私生活も大幅に変化し,それに伴って執筆
環境も変わりました。
変な話,わたしのようにさして筆の早くない夢婦人が連載をすると…

①徐々に連載夢の更新がめちゃくちゃゆっくりになる
②「更新停滞中」という表記がされるようになる
③日記に「スランプで書けない」と綴られるようになる
④いつしか短編夢も更新されなくなる
⑤連載夢は完結しないままサイトは閉鎖されるor放置される

…ということが,とても多いと思うんですよね。
正直なところそういうサイトって,すごく多いと思うのです。

でも,わたしは,
「『スランプ』というのは,今までたくさん書いてきた人が,どうしても書けなく
 なってしまった状態のことを言う。わたしのように,まだそれほど書いていない
 人間が『書けない』となったとしたら,それは『スランプ』でもなんでもない。
 ただの『怠惰』か,あるいは『書くのに向いていない』かだ」
と思っていましたし,
「公共の電波に乗せた以上は,できる限りの責任を負うものである」
とも思っていました。
なので,上記①~⑤のようになるのだけは絶対に嫌でした。
負けず嫌いなんですよね。
べつに何と戦っているわけでもないですけど。

「もう誰も読んでいないかもしれない」と思う時もありました。
でも,「『残照』が好き」と言っていただけることもありましたので。
「1~2人くらいは読んでいただけているんだな」と思いながら書いてきました。
書き上げることができて,本当に嬉しいです。

もう『残照』の伊東やヒロインを書くことがないんだな,と思うと不思議です。
彼らのことをずっと考えてきた8年弱だったので。
原作どおり伊東は死に,ヒロインは彼を失ったまま生きてゆかないといけません。
でも,伊東が惚れたまっすぐな彼女の―――ヒロインである『あなた』のこれからが,
光に満ちたものであることを,わたしは心から祈っています。


『残照』を書いた月日は「継いでゆくこと」の大切さ,尊さに気付かされた年月でも
ありました。
最後までお付き合いいただき,本当にありがとうございました。


この夢が,あなたの心になんらかの足跡を遺せたことを願いつつ……



2016年7月10日 RICO