P.S. ×××


へ


卒業式の時,ありがとうな。花束くれて。
けど…お前,泣き過ぎだ。
あの総悟がヒく程泣くのは,どうかと思う。
これからは,の代が風紀委員会を引っ張っていくんだから。
しっかりするんだぞ。

…けど,俺たちが卒業することを,あんなにまで寂しがってくれたのは,悪い気しなかった。
ありがとう。

お前は本当にのんびりで,近藤さんや総悟のボケにもいちいち素直に反応してて,俺の委員会活動は
そのフォローに終始していた気がする。
けど,お前ののほほんとした笑顔に,何度救われたかわからない。
「一緒に校内見回り行きましょ」と何度も誘ってくれて,嬉しかった。

はぽわんとしてるのに,肝がすわってるところもあって,あの停学があけたばっかの高杉にも,

「赤色のシャツは校則違反ですよ」

と注意していたな。
あれにはびっくりした。
というか,高杉もびっくりしてたよな。けど,

「俺は喧嘩に明け暮れてるから,赤シャツなんだよ。血が目立たねェようにな」

と,中2な嘘っぱちを吹き込まれて,

「そうなんですか!?ダメじゃないですか,喧嘩なんて!」

と更に詰め寄ったのには,もっとびっくりした。
…あれで,高杉はお前のこと気に入ったんだよな。
あれ以来,高杉は服装検査で校門に立ってるお前に,しょっちゅう話し掛けに来てた。
お前はなにしろ鈍いから,冷や冷やした。

を残して,先に卒業するのは心配だ。
いや,お前が努力家なのは知ってるぞ。
おっちょこちょいだけど,なんにでも一生懸命に取り組むところ,尊敬もしてる。
そういう意味では,委員会のことは心配してないし,勉強とか部活とかそういうのも心配してない。
は,俺の自慢の後輩だ。

ただ,俺はお前が…変な男に騙されるんじゃないか,って。
そこは心配だ。高杉の例もあるし。

んで,だ。解決策が1つある。
お前が変な男から言い寄られた時に「ふざけんな死ねカス消えろ」と,大手を振って言える立場の男に,
俺がなれば良いわけだ。
したがって,ただの「先輩」では駄目だ。
にとって,もっと特別な存在になる必要がある。
そうすれば,全方向的にお前を守ることが出来るってもんだ。
良いアイディアだと思わないか。

今度,壮行会をやってくれるんだよな?
そん時に返事を聞かせてくれ。
良い返事を期待している。

んじゃ,風紀委員会を頼んだぞ。
くれぐれも教師の言いなりにはなんなよ。
生徒会にも負けるな。

頑張れ。




   追伸:お前が好きだ。



土方十四郎



 
大事なことは最後に書く派。


2016/04/01 up...
十四代目・拍手お礼夢その3。共通テーマ『P.S.アイラブユー』(谷川史子先生の同名漫画より)。