拒もうと思えば 拒めた。 でも 拒まなかった。 それは 最初からわかっていた。 は甲斐犬のサクを伴って,万斉の部屋を約束通り毎夜同じ時間帯に訪れた。 万斉が彼女の音を聞きながら五線譜に音符を書き綴ったり,楽器を鳴らしたりしている間,少女はサクと遊んでいることが多く,時には ものめずらしそうに楽器を触っていることもあった。 どうやら最初の夜に触れていたコンガが一番のお気に入りらしく,小声で歌いながらリズミカルに何度もそれを叩いていた。 はそうやって一人遊び(サクも一緒だが)を楽しんでいるようだったし,万斉は万斉でそんな彼女の音を楽曲として練り上げる 行為に没頭していたため,言葉をほとんど交わさない夜もあった。 8日目の夜を迎えても,2人の距離はそれほど変わっていないように見えた。 「…ねえ」 「なに………っ!」 あまりにもごく自然に声をかけられたので,万斉も普通に返事をしかけたが,言葉の途中で「それ」が決して自然なことではないと 気付き,声が詰まった。指先が震え,爪弾いていた三味線が歪な音を発した。 「どうしたの?」 は怪訝そうにほんの少し首を傾け,万斉をじっと見つめてきた。どうもこの少女には,人と会話をする時その相手のことを強い 視線で見つめ返す癖があるようだ。まるで観察でもするかのように。 それは周りの者達から酷な仕打ちを受けていた幼少期のせいなのか,普段顔に包帯を巻きつけ,他人と目を合わせる機会が無いせい なのか,それとも――「話す時は俺の目を見ろ」と高杉から躾けられているせいなのか。理由はわからない。 「なに?どうしたの?」 「い,いや…」 初めて少女の方から話しかけてくれて――戸惑った。 これ程までに初々しい感覚が,自分の中に残っているとは思わなかった。 「殿の方こそ。ど,どうかしたでござるか?」 若干言葉をつっかえながら聞き返すと,はこちらの反応に不可解そうな面持ちではあったが,それ以上は踏み込んで来なかった。 そのかわりに, 「この大きな水槽,どうしたの?昨日までは無かったでしょ」 「ああ…それか」 傍らの円柱形の大型水槽をは小さな丸っこい指で差した。万斉が三味線を置いて立ち上がると,の足元に蹲っていたSPも, 即ち甲斐犬のサクも,のそりと立ち上がった。万斉は犬から嫌われる性質ではないため,このサクも万斉を嫌っているわけではないよ うだが,やはり頭の中には『万斉<』という式が刷り込まれているのだろう。ちなみに「高杉とのどちらに懐いているか」と いう質問に少女は「自分に懐いている」と答えていたので,その言葉を信じるならば『万斉<高杉<』という式になると思われる。 なんにしろ,サクは自分に気を許しているわけではないので,万斉は不必要に警戒させないよう2人に(1人と1匹に)ゆっくり歩み 寄った。サクを間にしての隣に立ち,思案気な眼差しで自分を見上げて来るSPの頭をまず撫でた。そして, 「この水槽は知り合いから1日だけ預かっているのでござるよ」 「1日だけ?どうして?」 「部屋を移る,と申しておってな。それほど物は多くないらしいが,なにしろこの水槽は大きな物ゆえ,些か引越し作業の妨げになる らしく…ならば1日だけなら預かろう,という運びになったでござる」 「ふーん…そうなの」 もっとも,水槽を預かるのは自分でなくとも良かったのだが(自分の部屋も楽器やら機材やらで決して広いとはいえない),が 興味を持ちそうだったので,敢えて進んで預かった――ということは言わないでおく。 「ねえ。さっきはどうして驚いた顔をしたの?」 「は?」 「さっきよ。わたしが話しかけたら,とても驚いていたでしょう?」 「ああ…」 既にその件は終わったものと思っていたが,この娘にとってはそうではなかったらしい。水槽に興味がいったかと思えば,先程の万斉 の反応に関心が戻る…なんとも読みづらいが,それも仕方の無いことのように思えた。 自分に聴こえるの音は,とても澄んでいて可愛らしいのと同時にどこか不安定で頼りなくもあった。 ようやっと立ち上がった赤子が,たどたどしく歩いているかのように。 「それほど大したことではないでござるよ。ただ…」 「ただ?」 水槽の淡い琥珀色の光がひそひそと揺れるのを横目に,万斉はを見下ろした。 「初めてであったな。殿の方から拙者に話しかけてくれるのは」 「!」 少女のよく光る濃い瞳に,水の色が映り込んで揺らめいた。一瞬後,の大人びた紅い唇が何か酸っぱい物でも食べたかのように窄み, やけに困っている表情になった。 「…そうだったかしら」 「そうでござるよ」 万斉がきっぱり断定すると,少女はますます困惑したように眉を寄せた。主の変化を敏感に嗅ぎ取ったサクが,鼻頭をその小さな手に ちょんとくっつけると,は気を取り直したかのように頷いた。そして,再び水槽に視線をやって, 「それより…この生き物は何?クラゲ?」 「クラゲによく似ているが,地球上の生物では無いでござるよ。他所の星に生息していて,ここ最近,天人の間で流行しているらしい」 クラゲに酷似した生物は,薄紅色の透きとおった傘でふわふわと呼吸しつつ,長い珊瑚色の触手で水の流れるがままに泳いでいた。 何の思考も意思もなく漂っているようにしか見えず,触手同士が絡まっていまうのではないか,と万斉はふと気にかかった。 「こんなにくねくねしていて,絡まってしまわないのかしら…足同士が」 「…」 「…なに?」 「いや…拙者も同じことを思ったゆえ」 こう言えば少女が困るだろうと予想はついていたが,万斉はそれを口にした。むしろ,困るとわかっていたからこそ敢えて言った。 ありていにいうと,只の苛めだ。案の定,は顔を思い切り顰めたので,万斉はいよいよ笑いを堪えるのに必死にならざるを得な かった。少女から視線を剥がし,水の中を彷徨う擬似クラゲを眺めた。 その傘,その触手の内側にある,血液によく似た赤い体液の香りのようなものが,擬似クラゲを微かに発光させていた。その艶めか しい光が,の白磁のような素肌を撫で回すかのように滑ってゆくのを,万斉は横目でじっと見ていた。それはなんとも淫靡で 背徳的な光景だった。発作的に少女に触れたい衝動に駆られたが,が突如身を屈め,サクに話しかけたので,万斉の衝動が実行に 移されることはなかった。 「ね,サクも見たい?」 よいしょ…と一体誰の影響なのか,年若い娘にはふさわしいとは言えない掛け声で,は甲斐犬を抱き上げた。彼女の手に彼の 重さは身に余るらしく,少々たたらを踏み,それはサクを不安にさせたらしい。「大丈夫?」とでも言いたげな瞳で主を見上げた。 が,そのようなことは何処吹く風で,は瑞々しい笑顔を弾けさせて, 「ほら,見て。綺麗な生き物でしょ」 クラゲにそっくりね,と愛犬に水槽を目で示した。サクはというと,きょとんとした表情で水槽を見つめ,突如目前に出現した透明な 壁を鼻先でスピスピと嗅いだ。 「レースのリボンのような足ね。絡まっちゃわないのかしらね」 無邪気にサクに話しかけるに,万斉は堪えきれず声を立てて笑った。 この娘は――本当に,まだ子どもなのだ。 は驚いて万斉の方を向いたが,自分がどうして笑われているのか理解できないようだ。ただ,この年頃の少女は,自分が笑われると 「良くない方」に捕らえがちだ。案の定,は「馬鹿にされて笑われている」と思ったらしく,キッと音でも聞こえてきそうな程 目を尖らせた。 「何がそんなにおかしいのよ。サクにも見せてあげるのが,そんなにおかしい?」 「いや…違う」 「じゃあ,どうしてそんなに笑っているのよ?」 それは――本当に自然な動作だった。 「かわゆらしいな,と」 そう思っただけでござるよ。 万斉はの頭をくしゃりと撫でていた。 瞬間,少女の体がびくっと跳ねて,愛犬を抱く腕に力がこもった。サクは不思議そうにを見上げ,褒められたとでも思ったのか, 尻尾をぱたぱたと振った。万斉にはが硬直したのが目に見えてわかったので, 「すまぬ…つい」 名残惜しさを感じながら頭から手を離すと,少女の小さな唇の左右の端がわずかに下を向いた。 「…帰るわ」 ぷいっとそっぽを向いて,はサクを足元に下ろし,万斉の横をすり抜けて部屋の出口へと駆けて行った。なんとか笑いを収めて, 万斉はの後を目で追った。何も考えずに,自分より小さき者を愛でる純粋な気持ちで頭を撫でてしまったが,は不快に感じた かもしれない。 なにしろ――彼女は高杉以外の男を知らないのだ。 「嫌だったか…すまぬ」 もう一度謝罪の言葉を口にすると,はぱっとこちらを振り向いた。 「イヤじゃないから,イヤ!」 それが捨て台詞となった。 あいくるしい捨て台詞に,万斉は再び笑い出してしまったが,幸か不幸か,がけたたましく扉を開けて出て行くのとほぼ同時だった ので,少女にそれは聞こえなかっただろう。 「…かわゆらしいでござるな」 もう一度余韻のように呟いて,万斉は思いついた旋律を五線譜に綴った。 そして――少女の発する「音」を何の楽器で奏でるのがふさわしいか,にわかに閃いた。 かわゆらしい曲になりそうだ。 +++++++++++++++++++++++++ 昨晩なんとも言いがたい別れ方をしたので,今夜はどのような表情で来るかと思ったが,はいつもと変わらない様子で―― 仏頂面で部屋を訪れた。いつも通りだ。 いつもと違っていたことは,万斉がシンセサイザーで音を作っている最中にが自分から近寄ってきたことだ。は万斉の 手元を興味深そうに見下ろし, 「艦の操縦板みたいだわ」 「シンセサイザーが?…なるほど,たしかに」 万斉は平静そうに頷き返しながらも,が誰にコクピットを見せてもらったのか,気になった…ひとりしか考え付かないが。 シンセサイザーから手を離し,首をゆっくりと回した。ずっと同じ姿勢を保っていたため,首やら肩やらの筋肉が鈍く軋んだ。 その間にもは変わらず万斉のことをじっと見つめてきた。 「これで何をしているの?」 「音を作っているでござるよ。この中には何百種類もの音色が元から入っているが,その音色をもっと自分好みに変えることが出来 るでござる」 「へえ…面白そうね」 「やってみるか?」 「いいの?」 「勿論」 首を縦に振ってやると,は好物の魚を前にした子猫のように目を輝かせて笑った。この笑顔が見られるのならばもっと早くに 言えば良かった,と少し後悔を覚えるくらいに。 万斉はその場から一歩退き「どうぞ」と言うかわりに,さも恭しく片手を翻してシンセサイザーの前を示した。は小さく跳ねる ようにそこに移って, 「どこを触るの?」 期待に満ちた目で鍵盤の群を見下ろした。シンセサイザーはの前ではいかにも重厚な物体のように見えた。少女はどのボタンを, どのノブを,どんな風に扱ったら良いのか全く知らないのだろう。 「そこを押してみるでござる」 「ここ?」 「そう」 万斉が指差したボタンを,は言われたとおりに押した。心もち前のめりになったことで,一筋の髪が黒い蔓草のように彼女の横顔を 隠した。万斉はその髪の束を指先で掬い取り,少女の小さな耳たぶにかけ直してあげた。はシンセサイザーに神経を集中させている からか,何も言わなかった。万斉は他にも複数のボタンを彼女に押させたうえで,鍵盤を弾くように促した。は鍵盤の表面をなぞる ように押し,その音に耳をすませた。 「…木琴の音みたいね」 「ああ。では,今度はそのツマミを上げて」 「これ?」 「そう…ああ,もう少し上げるでござる」 万斉はの無垢な手を,自分の手のひらで包み込み,丁度良いところまでツマミを上げさせた。 遠くから見ていても小柄なのに,こうして傍に近づけば近づくほどに,の指先も手も腕も背中も小さくなり,脆く頼りなくなってゆく。 手を差し伸べずには,手を握らずにはいられなくなってゆく。 幼い肌は万斉の皮膚を吸い寄せ,大人のそれよりも高い体温を惜しげもなく伝えてくる。 「では…鍵盤を弾いてみるでござる」 の手をツマミから剥がして鍵盤の上に乗せ,その細っこい指を万斉は自身の指で押した。 少女の体の奥から流れ出てくるあの透き通った高音が,万斉の感覚を痺れさせる。腕の中の小さな体を抱きつぶしてしまいたくなる。 「もっと高い…鉄琴?」 「ああ…そうでござるな」 「面白いわ。音がこんなに変わるのね……っ!!」 何の躊躇もなくは万斉の腕の中で振り返った。そして,初めて自分達がどんな格好で触れ合っているのかを理解したらしかった。 こちらを見上げる瞳が驚愕に見開かれ,さっと身を翻してシンセサイザーの前から退くことで万斉からも離れた。その時,の袂の 端が譜面台に引っかかり,楽譜が音を立てて床に落下した。 「ご,ごめんなさい…!」 「いや…」 慌てて屈もうとするを手で制し,万斉は楽譜を拾って元の位置に戻した。 「…」 「…」 静寂という名の音色が,痛いほどに部屋に広がった。すべてのものが鳴りをひそめ,ただ気まずさだけが2人の間で渦を巻いていた。 万斉はその静けさと,自分の内側でうねる欲望の声だけに耳をすませた。 「ね,ねえ…!」 「…ん?」 沈黙を破ったのは,少女の方だった。長い時間の沈黙に耐えられるほど,成熟していないにちがいない。 口から出任せなのだろう,彼女は全く関係のない質問を口にした。 「あなたが最初に弾いていた曲。あれは,何という曲?」 「最初に弾いて…?」 まだ頭が上手く働かず,ぼんやりとした声しか出てこない。は少しじれったそうに, 「ほらっ,あなたがお寺の境内で弾いていた曲よ」 「……ああ。あれか」 自分との距離が,あの日を境に急速に縮まってきた――そう思うのは自惚れではあるまい。 この距離感を築きあげるのに,あの日からまだ一月も経っていないことが,むしろ不思議でさえある。 でも…この秘密の逢瀬も,明日で終わりだ。 高杉の連夜の用事も明日が最後で,明後日からはこの娘と話すことはもう出来ないだろう。 彼女の曲も,もうほとんど出来上がっている。危険を冒してまで会う必要は,もう無い…はずだ。 「あれは『黙契』という曲でござる」 万斉は鬱々とした感情を振り払い,に向かって小さく微笑んだ。しかし,彼女には聞き慣れない言葉だったようで, 「…え?なに?」 「『もっけい』。黙した契り,と書くでござる。何も言わずとも互いの心が一致することを言う」 「何も言わずに…互いの心が…」 深く感じ入るものがあるのか,逆に上手く想像が出来ないのか,はあやふやな呟きを漏らした。万斉は少女を横目に見つつ, 一言「茶を淹れて来るでござる」と断ったうえで踵を返した。 「『黙契』はあなたが作った曲なの?」 「ああ。そうでござる」 「すごいのね!」 「…いや,そんなことは,」 純粋な賞賛の言葉に,柄にもなく声が詰まった。かろうじて「そんなことはない」と否定したが,ほんの小声にしかならなかった。 口角が緩みそうになるのを堪え,万斉は部屋の一角にあるシンクへと向かった。その後からが無防備にとことことついてきた ので,万斉は内心驚嘆した。最初の頃のは,自分の家から全く出たことのない飼い猫が,生まれて初めて他の家に来た時のような 緊張感と頑なさで,全身を強張らせていたというのに…素晴らしい進歩だ。 それも,つい先程気まずい空気になったばかりだとういうのに,こうして後からついてきてくれるとは… 驚きやら喜びやらで万斉の胸の内はいっぱいいっぱいだったが,そこは得意のポーカーフェイスでなんとか持ちこたえた。 「…素敵な曲。好きよ」 「!!!」 反射的に立ち止まってしまい,が背中にぶつかって小さく悲鳴をあげたのが聞こえた…が,それどころではなかった。 万斉はの方を振り返り,鼻の頭をさすっている彼女をまじまじと見下ろした。を見つめながら,自分の顔に熱が集まって ゆくのを嫌という程に感じた。自分では見えないがおそらく真っ赤になっているのだろう万斉の顔を見上げたは,ぎょっとした ように目を瞬かせると,何故か彼女の頬にまでさっと朱がさした。 「え…あの…別にあなたのことを言ったんじゃなくて。いえ,あなたのことなんだけど。あなたの曲を,」 「わ,わかっているでござる…わかっている」 鼻から下を手のひらで覆い,万斉は何度も頷いたり,首を横に振ったりした。全く逆の意味合いの身振りを同時にやっていることに,気付 きもしなかった。 (なんてこった…) なんという体たらくか。ただ「好き」と言われただけで(それも自身ではなく曲を)こんなにも動揺してしまうとは…なんという不覚。 万斉は何度か深呼吸を繰り返し,手のひらを口から離した。そして,こちらにつられておろおろしているに視線を合わせ, 「ありがとう」 「!」 少女に向かって笑った。はなぜか呆けたように万斉を見上げ,ぱっと俯いてしまった。髪の隙間から見え隠れする耳が,ほのかに 赤い…礼を言われたことに照れているのだろうか。このまま照れ合っていても仕方がないので,万斉は再びシンクへ向かおうとしたが, 上着の裾を背後から引っ張られ,すぐに足を止めることになった。振り返ると,遠慮がちに万斉の裾を掴み,目だけでこちらを見上げる の姿があった。 「…お茶はいらないわ。そのかわりに…」 裾を掴んだまま,は後ろにある三味線に目を転じた。そして, 「…『黙契』を弾いてくれる?」 万斉に視線を戻して,ほんの少しだけ肩を竦めてはにかんだ。 この娘におねだりをされて,断れる人間がいるのならば是非お目にかかりたい。心からそう思った。 「ああ。構わぬよ」 万斉は首を縦に振り,行き先を三味線へと変えた。愛用の楽器を抱え,自身の一番近くにあるソファにを座らせた。 こちらを見上げる少女の真剣な視線に再び顔が赤くなりそうになったが,プロのミュージシャンの誇りにかけてそれは堪えた。息を吸い 込み,ふっと吐き出すと同時に弦を弾いた。 音でを捕らえることが出来たら,旋律でを縛ることが出来たらどんなにか――それだけを強く思っていた。 目を瞑ってこちらの音に聞き入っているが,何を思っているのかはわからない。 でも,今この時だけは,高杉のことではなく自分のことだけを考えて欲しい,と。 自分の音にだけ耳を傾けて欲しい,と。 祈るような思いで,万斉は『黙契』を奏で続けた。黙したままで契り合う――そんな物語を。 2人で過ごす晩も――明日で最後だ。